Stagehandとは?E2Eテストが超楽になる!?“AIブラウザ自動化”の衝撃

この記事でわかること
- Stagehandとは何か(Playwrightとの関係)
- E2Eテストの基本と課題
- 自然言語でブラウザ操作ができる仕組み
- 主要機能「act / observe / extract / agent」の解説
- 開発・テスト・RPAへの活用方法
はじめに:ブラウザ自動化の新たな可能性

Web自動化と聞くと「Playwright」や「Selenium」を思い浮かべる人も多いでしょう。
ですが、AIの進化によって“コードを書かずにブラウザ操作を自動化する”という新しい流れが始まってます。
その中心にいるのが、Stagehand(ステージハンド)。
Playwrightを土台に、AIを統合した“次世代ブラウザ自動化フレームワーク”です。
Stagehandは単なる代替ツールではなく、Playwrightの上に自然言語の抽象化レイヤーを重ねるという発想で開発されました。
これにより、コードによる精密な制御と、AIによる柔軟な判断を両立できます。
本題に入る前に、、、
知ってる人は飛ばしてください。
E2Eテストとは?(初心者でもわかる基本)

E2E(End to End)テストとは、
ユーザーの操作を最初から最後まで自動で再現し、アプリ全体の動作を確認するテスト手法のことです。
たとえば以下のような流れを、人の代わりに自動で実行します。
- サイトにアクセス
- ログインフォームに入力
- 商品をカートに追加
- 決済処理を完了
このように、アプリ全体の“つながり”を検証するのがE2Eテストの目的です。
ただし、DOM構造やボタン位置の変化に弱いという課題があり、ここをAIで補うのがStagehandの強みです。
従来の課題を解決するハイブリッドアプローチ
これまでのE2Eテストやスクレイピングには、次のような課題がありました。
- セレクタやDOM構造が少し変わるだけでスクリプトが壊れる
- AIエージェントは柔軟だけど、再現性に欠ける
Stagehandはこの両者を組み合わせ、安定性と柔軟性を両立した自動化を実現します。
まさに「精密なコード」と「自然言語AI」のいいとこ取りです。
Stagehandの核となる4つの機能

機能 | 概要 |
|---|---|
act | 自然言語でのブラウザ操作(例:“Click the login button”) |
observe | アクションの事前プレビューとキャッシュ化で安定性を確保 |
extract | Zodスキーマと自然言語を組み合わせて構造化データを抽出 |
agent | 多段階のタスクを自律的に実行(v2で追加予定) |
act:自然言語でブラウザ操作
await stagehand.act("Click the login button")たとえばこの一文で、ログインボタンを探してクリックしてくれます。
UIが多少変わっても壊れにくく、AIが最適なDOM要素を推定して実行します。
observe:安定性を強化するキャッシュ機構
AIの操作を一度観察してキャッシュ化することで、
次回以降の実行ではAIの推測を省略し、再現性を高めることができます。
「一度正しく動けば、以降は安定して動く」仕組みです。
extract:構造化データを抽出
const schema = z.object({
title: z.string(),
price: z.number(),
})
const data = await stagehand.extract({
schema,
prompt: "Extract all product titles and prices from the page",
})
Zodスキーマで型を定義し、自然言語の指示と組み合わせて抽出します。
AIの柔軟性と型安全性の両立は、他のスクレイピングツールにはない特徴です。
技術アーキテクチャと構成
StagehandはMITライセンスで公開されており、モノレポ構成で管理されています。
主要技術スタックは以下の通りです。
- TypeScript / Playwright / React / Next.js
- Tailwind CSS / Bun / Drizzle / Zod
これらの技術により、高速な実行と柔軟な開発が可能になっています。
他ツールとの比較
比較項目 | Playwright / Selenium | 純AIエージェント | Stagehand |
|---|---|---|---|
操作精度 | 高い | 中程度 | 高い |
柔軟性 | 低い | 高い | 高い |
UI変更への耐性 | 弱い | 中程度 | 強化済み |
再現性 | 安定 | 不安定 | 安定(キャッシュ機構) |
Stagehandは従来のフレームワークの信頼性を維持しつつ、AIの柔軟さをプラスした“中間進化型”の立ち位置です。
活用シーンと将来性
- E2Eテスト自動化:自然言語でテストを記述可能
- Webスクレイピング:構造化データを効率的に抽出
- RPA業務支援:ログイン・入力などのルーチンを自動化
- QA効率化:AIが操作+確認まで実施可能
今後のバージョンでは、複数の操作を自律的に組み合わせる“Agent”機能が予定されており、
テストだけでなく業務オートメーションにも拡張が見込まれます。
まとめ:AI時代のブラウザ自動化がここから始まる
Stagehandは、コードによる再現性とAIによる柔軟な推論を両立した革新的なフレームワークです。
自然言語で操作し、キャッシュで安定させ、Zodで安全に抽出する——
この仕組みによって、E2EテストやWeb自動化は一気に誰でも触れるものになりました。
「ブラウザを指示で動かす」時代は、すでに始まっています。
参考リンク
他の記事も見る
同じジャンルのおすすめ
もっと見る →
「Open Notebook」とは?Notebook LMを超える“自己ホスト型AIノート”の全貌
Google Notebook LMに似た体験を自社運用で実現するオープンソース「Open Notebook」。開発者Luis Novoの狙い、人気の出始めた背景、v1系の進化点、導入・セキュリティ面までを詳しく解説。

Lobe Chatとは?OpenAI・Claude・Geminiを一括管理できる最強AIフレームワーク
複数AIを一元管理できる「Lobe Chat」を徹底解説。OpenAIやClaude、Geminiなどを統合、自分専用AIエージェントを構築できる最新フレームワーク。

AIでWebアプリを自動生成!Lovableとは?
Lovable.devは、チャットで指示するだけでWebアプリが作れるAI開発ツール。使い方や料金、他サービスとの違い、利用者の評判をわかりやすく解説します。
新着記事

コマンドラインでMarkdownを美しく読む:glowの使い方と魅力
ターミナルでMarkdownを快適に読むCLI「glow」の導入手順と基本操作、TUIの活用、他ツール比較、効率化のコツを解説します。実務で役立つ使いどころや注意点も網羅し、READMEや手順書をブラウザなしで素早く確認できる開発環境づくりを支援します。

Onlookとは?:Subframe・Tempo・v0・Boltなど、デザイナーと開発者のための次世代UIツール徹底比較
OnlookはReactとTailwindを使った既存プロジェクトを“そのまま編集”できる唯一のVisual IDE。SubframeやTempo、v0など主要AIデザインツールと比較し、開発者が語る「one-to-one in code」の思想からOnlookだけの魅力を解説します。

もう.envを手動で共有しない!Infisicalが変えるシークレット管理の新常識
シークレット共有の悩みを解消するオープンソース「Infisical」。APIキーや.envを安全に管理できる新時代のセキュリティプラットフォームを解説します。