
Qwen Codeとは?Gemini CLIからフォークし独自進化を続けるAlibaba製AIコーディングエージェントを試した
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この記事でわかること
Claude CodeやCodex CLI、OpenCode、Gooseなど、ターミナルで動くAIコーディングエージェントはこの数年で一気に増えました。今回取り上げる「Qwen Code」(https://github.com/QwenLM/qwen-code )は、そのなかでも出自が少し変わったツールです。公式READMEによれば、もともとGoogleの「Gemini CLI」v0.8.2をフォークして始まり、v0.1以降は上流との同期を止めて独自に開発されてきたと明記されています。開発元はAlibabaのQwenチームです。
この記事では公式リポジトリのREADMEとドキュメント(docs/users配下)を一次情報としつつ、実際にnpmでCLIをインストールし、バージョン確認・サブコマンド構成・サンドボックス機能・認証まわりの実際の挙動をこのクラウド環境の中で試した結果をまとめます。対話セッションを回すにはLLMプロバイダーの認証が必要で、この検証環境にはAPIキーを用意していないため、そこから先は公式ドキュメントの記述として明確に書き分けています。
- この記事でわかること:Qwen CodeがGemini CLIとどう違うのか、何をするツールか。
- 実際にインストールして `qwen --version` `qwen --help` `qwen sandbox` を動かした結果。
- 2026年4月15日に無料枠が終了した「Qwen OAuth」から、現在の認証方式への変遷。
- sub-agents・hooks・skills・LSP統合など、READMEに並ぶ機能名の実際の対応状況。
- `qwen mcp` `qwen board` `qwen channel` など、ドキュメントの機能名と実コマンドの対応関係。
Qwen Codeとは:Gemini CLIからフォークし、上流と袂を分かったOSS
Qwen Codeのライセンスファイルを直接確認すると、Apache License 2.0が適用されており、著作権表示には「Google LLC」と「Qwen」の両方が並んでいました。これはGemini CLIのコードベースをフォークした経緯がそのままライセンスファイルに残っている形です。READMEには「当初はGoogle Gemini CLIのv0.8.2をベースにしており、v0.1以降は上流との同期を止めて独自に開発を進めている」と明記されており、単なる一時的な派生ではなく、意図的に別プロダクトとして育てている立ち位置が読み取れます。
確認時点(2026年10月)でのGitHubスター数はおよそ2.84万、インターフェースはターミナルCLIに加えてデスクトップアプリ・実験的なWeb UI・VS Code/Zed/JetBrains向けのエディタ拡張・Telegram/DingTalk/WeChat/Feishuなどのチャット連携まで広がっていると公式ページに記載されています。対応モデルもOpenAI・Anthropic・Gemini・Qwen系APIに加え、Ollama/vLLM経由のローカルモデルまで挙げられており、Gemini CLI譲りの「マルチプロバイダー対応」という設計思想を引き継いでいるようです。
実際にインストールしてみる
公式ドキュメント(docs/users/quickstart.md)の手順どおり、npmで直接グローバルインストールしました(Node.js 22以上が必要とされています)。
- コマンド: `npm install -g @qwen-code/qwen-code@latest`
- 結果: 16パッケージが追加され、エラーなく完了した
- `qwen --version` は `0.25.0` を返した
- `qwen --help` のトップレベルコマンドは `auth`(removed注記あり)`batch` `board` `channel` `extensions` `hooks` `mcp` `review` `sandbox` `serve` `sessions` `update` と、対話なしのワンショット実行用の位置引数クエリで構成されている
ここで気になったのが、`qwen --help` のコマンド一覧に `qwen auth Configure authentication (removed)` と表示されたことです。つまりトップレベルのサブコマンドとしての `qwen auth` はすでに廃止されています。一方でdocs/users/quickstart.mdには、起動後に対話セッション内のスラッシュコマンド `/auth` で認証方式を変更できると案内されており、こちらは現役として扱われています。READMEやドキュメントの記述と、実際にインストールしたCLIのヘルプ表示を突き合わせないと気づきにくい、バージョン間の細かい変化でした。
試しに認証を設定しないまま `echo '' | qwen /doctor` のように非対話的に実行してみたところ、「No auth type is selected. Please configure an auth type (e.g. via settings or `--auth-type`) before running in non-interactive mode.」というエラーで即座に終了しました。`--auth-type` オプションには `openai` `openai-responses` `anthropic` `qwen-oauth` `gemini` `vertex-ai` の6種類が選択肢として用意されていることも `--help` から確認できましたが、この検証環境には認証情報を用意していないため、実際の対話セッションまでは踏み込めていません。
認証まわりの変化:Qwen OAuthの無料枠は2026年4月に終了していた
公式ドキュメント(docs/users/configuration/auth.md)によると、現在の `/auth` メニューは大きく3系統に分かれます。公式推奨の「Alibaba ModelStudio」(個人向けの定額制Coding Plan、従量課金のTeam/Enterprise向けToken Plan、既存ModelStudioキーを使うStandard API Key)、DeepSeek・Grok・MiniMax・Z.AI・Kimi・Idealab・ModelScope・OpenRouter・Requestyなどから選ぶ「Third-party Providers」、そして任意のOpenAI/Anthropic/Gemini互換エンドポイントを手動登録する「Custom Provider」です。Custom Providerは `~/.qwen/settings.json` の `modelProviders` にプロトコルごとのエンドポイントとAPIキーの環境変数名を書く方式で、ドキュメントにはAnthropic互換の設定例として `claude-sonnet-4-20250514` を登録するサンプルも載っていました。
見逃せないのが、無料で使えていた「Qwen OAuth」についての記載です。ドキュメントには「the free tier has been discontinued as of 2026-04-15」と明記されており、2026年4月15日付けで無料枠が終了したことがはっきり書かれています。既存のキャッシュ済みトークンは一時的に動く可能性があるものの、新規リクエストは拒否されるとのことです。代替としてCoding Plan・OpenRouter・Fireworks AIなどが案内されており、Gemini CLIのような無料枠ベースの入り口は、少なくとも公式ドキュメント上はすでに閉じていることになります。
機能の幅:sub-agents・hooks・skills・LSP統合まで
リポジトリの `docs/users/features` ディレクトリを見ると、`sub-agents.md` `hooks.md` `skills.md` `memory.md` `mem0.md` `lsp.md` `sandbox` 関連 `worktree.md` `browser-use.md` `computer-use.md` `scheduled-tasks.md` `multi-agent-coordination.md` `agent-board.md` `batch.md` など、30本を超えるドキュメントファイルが並んでいました。READMEのトップにもSubAgents、Agent Teams、Dynamic Workflows、Auto-Memory、Auto-Skills、Hooks、組み込みSkills(`/review` `/batch` `/loop` `/bugfix`など)、MCP、Plan Mode、LSP統合、Sandbox、Git Worktrees、Computer Useといった機能名がずらりと並んでおり、SWE-bench Verified(500件、Qwen 3.7 Max使用)のベンチマーク表は確認できたバージョンの範囲で平均76〜78%前後のスコアが報告されています。ただし表に載っているバージョンは0.22.0までで、実際にインストールした最新版は0.25.0だったため、ベンチマークの更新よりCLI本体のリリース速度の方が速いようです。
機能名の多さがドキュメント上の誇張ではないことは、実際の `--help` 出力とも一部一致が取れました。`qwen board`(「Share work with other agents through a board」= `agent-board.md` に対応)、`qwen channel`(「Manage messaging channels (Telegram, Discord, etc.)」=チャット連携機能)、`qwen hooks`、`qwen mcp` が、それぞれトップレベルのサブコマンドとして実在します。
サンドボックスやMCP管理もCLIから確認できる
`qwen sandbox` を認証なしで実行すると、「Tool execution sandbox: none」「Configure tools.executionSandbox in User or System settings.」というレポートが返ってきました。`--help` によれば `qwen sandbox --verify` でカーネルレベルの隔離を検証でき、`qwen sandbox -- sh -c 'ls /'` のように任意のコマンドを隔離環境内で1回だけ実行することもできる設計です。この検証環境では `tools.executionSandbox` が未設定のため「Sandbox unavailable」という結果でしたが、コマンド自体はエラーにならず、ツール実行を隔離する仕組みが実装されていることは確認できました。
`qwen mcp --help` では `add` `remove` `list` `reconnect` `approve` `reject` という6つのサブコマンドが用意されており、MCPサーバーの追加・承認・拒否までCLI単体で完結できる作りになっています。対話セッションを起動しなくても、MCPサーバーの構成確認だけならこの時点で可能という点は、CIやスクリプトから設定を検証したい場合に地味に便利そうです。
まとめ
実際にインストールして動かした範囲では、Qwen Codeは「Gemini CLIのクローン」というより、フォーク元のライセンス表記にGoogleの名前を残しつつも、認証方式(Alibaba ModelStudio中心への再編)、機能面(sub-agents・hooks・skills・board・channelなど)の両方で独自路線を明確に進めているツールという印象でした。特に、無料で試せる入り口だったQwen OAuthが2026年4月に終了していた点は、ネット上の古い紹介記事と現状がずれやすい部分なので、導入前に公式ドキュメントで確認しておく価値があります。
一方で、実際の対話セッションを動かすにはAlibaba ModelStudioやいずれかのサードパーティプロバイダーのAPIキーが前提になるため、今回の検証はインストールからCLI構成・サンドボックス・MCP管理コマンドの確認までにとどまりました。すでにDeepSeekやOpenRouterなどのAPIキーを持っている場合は、`qwen` を起動して `/auth` からThird-party Providersを選ぶところまでは大きな障壁なく試せるはずです。
参考リンク
- Qwen Code 公式GitHubリポジトリ(README・ライセンス・ソースコード)
- https://github.com/QwenLM/qwen-code
- Qwen Code 公式ドキュメント:クイックスタート
- https://github.com/QwenLM/qwen-code/blob/main/docs/users/quickstart.md
- Qwen Code 公式ドキュメント:認証設定
- https://github.com/QwenLM/qwen-code/blob/main/docs/users/configuration/auth.md
- @qwen-code/qwen-code(npmパッケージ)
- https://www.npmjs.com/package/@qwen-code/qwen-code
