
Agent Pluginsとは?SkillsとMCPサーバーを1フォルダに束ねる新標準をAnthropic抜きで読む
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Claude Code用に書いたSkillは、そのままではCursorやVS Code Copilotに持っていけません。逆もまた同じです。MCPサーバーの設定も、クライアントごとに置き場所や書き方が微妙に違います。Skill本体のフォーマットは2025年12月にAnthropicがAgent Skillsとして標準化しましたが、「Skillと、それが使うMCPサーバーをひとまとめにして、1コマンドで配れる形」までは決めていませんでした。
この隙間を埋めようとしているのがAgent Pluginsです。GitHub上の組織アカウント agentplugins が管理する仕様リポジトリによれば、Agent Pluginsは「AIエージェントを拡張する再利用可能な部品を、配布可能なプラグインにまとめるための、オープンでベンダー中立な標準」です。現在の公開バージョンは1.0.0で、1.1.0が策定中のドラフトとして進んでいます(仕様: https://github.com/agentplugins/agent-plugins-spec )。
複数の報道・公式発表を総合すると、この1.0.0は2026年8月6日にVercel・AWS・Microsoft・OpenAI・Cursorの開発元Anysphereが共同で公開し、発表当日にGoogleがCore Maintainerとして加わったとされています。ChatGPTやCodex、Cursor、GitHub Copilot、Kiro、VS Codeが初日から対応したとも伝えられていますが、これらの発表元ブログ(Vercel・GitHub・AWSの公式ブログ)は今回の調査環境からは直接アクセスできず、一次情報での裏取りは仕様リポジトリとGitHub組織ページ、GitHub本体のissueに限られています。この記事では、直接確認できた仕様の中身を中心に、確認しきれていない部分は「報じられている」と明記して区別します。
- この記事でわかること:Agent Pluginsが何を標準化し、何をクライアント任せにしているか。
- plugin.json・skills/・mcp.jsonという最小構成と、それぞれの必須項目。
- mcp.jsonでMCPサーバーを束ねる3方式(stdio / streamable-http / sse)の違い。
- AnthropicがMCPとAgent Skillsという2つの土台を作った当人でありながら、今回の策定には加わっていない点。
Agent Pluginsとは何を決め、何を決めていないのか
仕様の中心にあるのは「プラグインはフォルダである」という単純な定義です。ルートに plugin.json というマニフェストを1つ置き、任意で skills/ ディレクトリとMCPサーバーを宣言する mcp.json を添える。これだけで、対応するクライアントがそのフォルダをプラグインとして読み込めるようになります。
重要なのは、仕様がこの「共通のフォルダ構造」以外にはほとんど踏み込んでいない点です。プラグインのインストール方法、配布経路(レジストリを作るのか、GitHubリポジトリを直接指すのか)、権限管理、ユーザー体験は、すべて各クライアントの裁量に委ねられています。GitHubのissueトラッカーに立てられた `gh plugin` コマンド追加の提案( https://github.com/cli/cli/issues/14092 )でも、Agent Pluginsは「Microsoft、GitHub、OpenAI、AWS、Cursor、Vercelが支える、オープンでベンダー中立な標準」と説明されており、狙いは「一度書けばどこでも動く(Write Once, Run Anywhere)」プラグイン作者体験だとされています。
ガバナンス文書(GOVERNANCE.md)を読むと、技術運営委員会(TSC)は「いかなる単一ベンダーもCore Maintainerの議席の過半数を占めることはできない」という規定を置いています。決定は基本的にコンセンサス方式で、正式な投票が必要な場合は定足数50%・過半数の賛成、電子投票では全メンバーの過半数の賛成が必要というルールです。ライセンスは仕様文書がCreative Commons Attribution 4.0(CC-BY-4.0)、コードはApache 2.0という二本立てになっています。
ここで気になるのは、MCPとAgent Skillsという今回束ねられる2つの技術を、どちらも最初に世に出したのがAnthropicだという点です。MCPは2024年11月にAnthropicが公開したプロトコルで、Agent Skills自体も2025年12月にAnthropicがagentskills.io上でオープンな標準として公開したものです(実装: https://github.com/anthropics/skills )。ところが今回のAgent Plugins策定には、GOVERNANCE.mdやGitHub issueに名前が挙がるVercel・AWS・Microsoft・OpenAI・Cursor(Anysphere)・Googleの中にAnthropicは含まれていません。自社が作った2つの土台の上に、他社が新しい梱包規格を組んだ、という構図です。
仕組み①:plugin.jsonとskills/ — 最小のプラグイン
仕様リポジトリの1.0.0本文( https://github.com/agentplugins/agent-plugins-spec )によれば、最小のプラグインはplugin.jsonが1つあるだけで成立します。必須なのは、仕様スキーマのURLを指す $schema と、プラグイン名を表す name の2項目だけです。
name には制約があり、1〜64文字、使える文字は a-z0-9.- のみ、先頭・末尾に記号を置けず、-- や .. のような記号の連続も禁止されています。それ以外の version・description・author・homepage・repository・license・keywords・extensions はすべて任意項目です。
Skillを同梱する場合は、ルート直下に skills/ ディレクトリを置きます。その直下の各サブディレクトリのうち、SKILL.md という名前の通常ファイルを持つものだけが1つのSkillとして認識されます。再帰的に深い階層まで探索することはなく、不正な形式のSkillは読み込みをスキップされるだけで、他のコンポーネントの読み込みは止まりません。Skill自体のフォーマットは、Anthropicが公開したAgent Skills仕様( https://agentskills.io/specification )にそのまま従います。
| ファイル・ディレクトリ | 必須/任意 | 内容 |
|---|---|---|
| plugin.json | 必須 | $schemaとnameを含むマニフェスト。他の項目はすべて任意 |
| skills/<name>/SKILL.md | 任意 | Agent Skills仕様に従うSkill本体。1階層のみ探索 |
| mcp.json | 任意 | MCPサーバーの宣言。plugin.jsonと同じ仕様バージョンを指定 |
| extensions(plugin.json内)またはリバースドメイン名のディレクトリ | 任意 | クライアント固有の設定・ファイル |
仕組み②:mcp.jsonでMCPサーバーを束ねる
mcp.json はルートに置く任意ファイルで、$schema(plugin.jsonと同じバージョンを指す必要があります)と、サーバー識別子から設定オブジェクトへのマップである mcpServers を持ちます。サーバーの接続方式は type フィールドで3種類から選びます。
stdio では command が必須で、シェル文字列ではなく単一のコマンド名・パスのみを渡します。args・env・cwd は任意で、cwd や env の値、args の中では ${PLUGIN_ROOT}(プラグインのルートの絶対パス)と ${PLUGIN_DATA}(クライアントが管理する永続データディレクトリの絶対パス)というプレースホルダーを展開できます。展開は1回限りで、env のキー名やcommand自体には適用されません。streamable-http は url が必須で、loopback(localhost等)以外はHTTPS必須。sse は仕様上「レガシー」扱いで、対応は任意です。MCP対応をうたうクライアントも、stdioかstreamable-httpのどちらか一方さえ実装していれば仕様を満たせます。
セキュリティ面では、認証情報を env や headers に直接埋め込むことが明確に禁止されています。プラグインはパッケージとして配布・共有される前提のデータなので、そこに秘密情報を書くと配布経路にそのまま漏れる、という理由です。また、cwdの${PLUGIN_DATA}展開後のパスも含めて、すべてのファイルパスがプラグインルート配下に収まることを検証する規定(§4.1)があり、逸脱した設定はサーバー単位・コンポーネント単位・マニフェスト単位のいずれか最小の範囲で無効化されます。
| type | 必須フィールド | 備考 |
|---|---|---|
| stdio | command(単一トークン) | args/env/cwdで${PLUGIN_ROOT}・${PLUGIN_DATA}を展開可能 |
| streamable-http | url(絶対URL) | loopback以外はHTTPS必須。headers等の展開はなし |
| sse(レガシー) | url(絶対URL) | 対応は任意。新規実装では非推奨寄りの位置づけ |
確認しておきたい注意点
クライアント固有の設定は extensions フィールドか、リバースドメイン名(例: com.example.client)を名前に持つトップレベルディレクトリに置く決まりです。plugin.jsonのスキーマは閉じており、トップレベルに独自の hooks や agents、commands といったフィールドを直接足すことは想定されていません。仕様の移行ガイド( https://github.com/agentplugins/agent-plugins-example )は、既存のクライアント固有ファイルを残したままplugin.jsonを追加し、Skillをskills/へ、MCP設定をmcp.jsonへ段階的に寄せていく、という追加型の移行を推奨しています。
対応クライアントについては、GitHubのCopilot向け発表(2026年8月12日付とされる)でVS Code・Copilot CLI・Copilot appへの対応が伝えられ、ChatGPTやCodex、Cursor、Kiroも初日から読み込めるようになったと報じられています。ただし今回、これらの一次発表(Vercel・GitHub・AWSそれぞれの公式ブログ)には調査環境のネットワーク制限で直接アクセスできませんでした。裏を取れたのは仕様リポジトリとGitHub組織ページ、GitHub本体のissueまでで、対応クライアントの具体的な挙動は各社の一次情報で確認してから使うことをおすすめします。
AnthropicのClaudeやClaude Codeについては、GOVERNANCE.mdに載るCore Maintainerの一覧にも、GitHub issueに挙がる支援企業の一覧にも名前がなく、この記事の調査時点でAgent Pluginsへの対応表明は確認できませんでした。Claude CodeのSkillやMCP設定は今のところ独自の置き場所のままで、Agent Plugins形式のフォルダをそのまま読み込む機能は一次情報からは確認できていません。
まとめ:束ねる規格が増えても、土台はMCPとAgent Skillsのまま
Agent Pluginsが決めているのは、SkillとMCPサーバーをひとつのフォルダに収める「梱包の形」だけです。中身のSkillフォーマットはAgent Skills仕様、ツール接続の作法はMCPと、どちらも既存の規格をそのまま使います。複数のクライアント向けに同じSkillとMCPサーバーの組み合わせを配りたい人にとっては、フォルダ構成を1つに揃えられる分だけ管理が楽になる規格です。
一方で、インストール方法や権限まわりはクライアント任せのままなので、「Agent Plugins対応」を掲げるツールが増えても体験が均一になるとは限りません。仕様自体は無料で読め、移行も既存ファイルを残したまま進められる追加型なので、複数クライアントを相手にしているなら仕様書に一度目を通しておく価値はあります。ただしClaude Codeでの対応状況のように、一次情報でまだ確認できていない部分は、今後の各社の発表を待つ必要があります。
参考リンク
- Agent Plugins 公式サイト
- https://agent-plugins.org
- 仕様の解説ページ
- https://agent-plugins.org/specification
- 仕様リポジトリ(1.0.0本文・GOVERNANCE.md・LICENSE)
- https://github.com/agentplugins/agent-plugins-spec
- GitHub組織ページ(agentplugins)
- https://github.com/agentplugins
- 移行ガイド付きのサンプルプラグイン
- https://github.com/agentplugins/agent-plugins-example
- gh CLIへのAgent Plugins対応を求めるissue(支援企業への言及あり)
- https://github.com/cli/cli/issues/14092
- Agent Skills仕様(Anthropicが公開・agentskills.io)
- https://agentskills.io/specification
- Anthropicが公開しているAgent Skillsの実装リポジトリ
- https://github.com/anthropics/skills
